栄養管理と生命科学シリーズ栄養教育と健康の科学

著者:実践女子大学教授 中川靖枝 中村学園大学教授 岩本昌子
分野:管理栄養士
ページ数:227頁
判型:A5判
ISBN:978-4-8446-0822-6
定価:本体 2,800円 + 税
 新しい時代が求める栄養士像の形成に向けて、21世紀の管理栄養士等あり方検討会の報告書が公表されて以降、栄養士法の一部改正が行われ、管理栄養士業務についても従前の「複雑困難な栄養の指導等」という表現から、業務の一部として傷病者への栄養指導を明確化することの他、教育科目の充実、管理栄養士国家試験の改善、生涯教育の充実等が必要であるとの提言がなされている。このような背景下、本シリーズは「栄養管理と生命科学」と銘打ち、カリキュラムの専門分野科目である栄養教育論を「栄養教育と健康の科学」という表題で、学習者の認識が専門職としての知識や技能の一層の高度化を図ることに向けられるよう目指している。
 周知のとおり教科書は、教科の主たる教材といわれるように学習者の理解を深める重要な媒体であり、その教育内容は教育目的の達成を図るために学習者に対して示される具体的事象となる。管理栄養士国家試験基準(ガイドライン)に則する教育内容として「栄養教育論」では、健康・栄養状態、食行動、食環境等の評価・判定に基づき、栄養教育プロラグムの作成・実施・評価を総合的にマネジメントする能力を養うこととし、そのために必要とされる健康・栄養教育に関する理論と方法を修得し、行動科学やカウンセリングの理論と応用についても理解することが目標であると明確にされている。具体的な事例としては、国民の健康問題の大きな課題となっている生活習慣病の発症と進行を防ぐ生活習慣の改善において、特に食生活改善が重要であることから、対象者や対象集団に対しては実行可能な方法の提示や提案、その支援関連従事者には円滑な連携手段や運営方法の向上などが求められ、それぞれに適切な対応ができるよう本書では欄外やコラムにも工夫をしている。 
 これらの教育内容に関して本書は、第1章~4章までに可及的な最新情報を取り入れることに留意したが、印刷教材の宿命ともいえる種々なデータの経時変化や法改正事項などの修正は、本書を活用した講義の際、学習者自身が関心を示すようになれば、学習者の資質を高めることに寄与するであろうと期待される。
目次正誤表追加情報
第1章 栄養教育の概念                          
1 栄養教育の目的・目標
1.1 栄養教育の定義
1.2 栄養教育と生活の質(QOL)
1.3 栄養教育と健康教育・ヘルスプロモーション
1.4 栄養教育と他の生活習慣(身体活動、喫煙、飲酒、休養、睡眠)
2 栄養教育の対象と機会
2.1 健康状態から見た対象と機会(1次・2次・3次予防のつながりと、各段
  階における栄養教育
2.2 個人・組織・地域社会のレベル別に見た対象と機会
2.3 ライフステージ・ライフスタイルから見た対象と機会(妊娠・授乳期、乳幼児期、学童期、思春期、成人期、高齢期)
3 栄養教育と食環境づくりとの関連      
3.1 食環境の概念
3.2 食物へのアクセスとフードシステム(食物の生産・加工・流通・販売・外食・
給食)
3.3 情報へのアクセス(マスメディア、携帯情報端末、広告)
3.4 食環境に関わる組織・集団への栄養教育
3.5 食環境整備に関連した法律・施策・制度
問題
 栄養教育のための理論的基礎
1行動科学理論と栄養教育    
1.1 栄養教育の課題に応じた理論の選択と展開
1.2 栄養教育における理論の活用
2 行動科学の理論とモデル
2.1 刺激‐反応理論(レスポンデント条件づけ、オペラント条件づけ)
2.2 ヘルスビリーフモデル(健康信念モデル)
2.3 トランスセオレティカルモデル(行動変容段階モデル)
2.4 合理的行動理論、計画的行動理論
2.5 社会的認知理論(社会的学習理論)
2.6 ソーシャルネットワーク、ソーシャルサポート
2.7 コミュニティ・オーガニゼーションの応用 2.8 プリシード・プロシードモデル
3 栄養カウンセリング              
3.1 カウンセリングの基本(考え方と技法)
3.2 栄養カウンセリングの特徴
3.3 栄養カウンセリングの方法論
3.4 栄養カウンセリングの種類
4 栄養カウンセリングと行動変容の技法     
4.1 刺激統制
4.2 反応妨害・拮抗
4.3 行動置換
4.4 オペラント強化
4.5 認知再構成
4.6 意思決定バランス
4.7 目標宣言、行動契約
4.8 セルフモニタリング
4.9 自己効力感(セルフ・エフィカシー)
4.10 ストレスマネジメント
4.11 ソーシャルスキルトレーニング
5 組織づくり・地域づくりへの理論的基礎の展開  
5.1 組織・地域づくりとソーシャルキャピタルの概念
5.2 組織づくり・ネットワークづくり
5.3 自助集団(セルフ ヘルプグループ) の形成
5.4 グループダイナミックス(集団力学)  
5.5 エンパワメント
問題
第3章 栄養教育マネジメント
1 栄養教育マネジメントの意義と必要性
1.1 栄養教育のマネジメントサイクル
2 健康・食物摂取に影響を及ぼす要因のアセスメント
2.1 学習者の把握(情報収集)の方法
2.2 行動記録、行動分析
2.3 個人要因(知識、スキル、態度、行動)のアセスメント
2.4 環境要因(家庭、組織、地域)のアセスメント
2.5 優先課題の特定
3 栄養教育の目標設定
3.1 目標設定の意義と方法
3.2 結果(アウトカム)目標
3.3 行動目標
3.4 学習目標(知識、態度、スキル)
3.5 環境目標
4 栄養教育の評価
4.1形成的評価(企画評価および経過評価)
4.2総括的評価(影響評価および結果評価)
4.3 経済的評価
4.4 総合的・統合的評価(形成的評価、総括的評価および経済的評価)
4.5 評価結果のフィードバック
5 栄養教育プログラムの作成        
5.1 学習者の決定
5.2 場所の選択と設定
5.3 期間・時期・頻度・時間の設定
5.4 全体計画・プログラム案・学習指導案の作成
5.5 教材の選択と媒体の活用
5.6 学習形態の選択
6 栄養教育プログラムの実施        
6.1 実施者の決定とトレーニング
6.2 コミュニケーション技術
6.3 プレゼンテーション技術  
問題
第4章 ライフステージ・ライフスタイル別栄養教育の展開
1 妊娠・授乳期の栄養教育      
1.1 妊娠期の栄養教育の特徴と留意事項
1.2 授乳期の栄養教育の特徴と留意事項
2 乳幼児期の栄養教育      
2.1 乳幼児期の発育・発達の特徴
2.2 乳児期の栄養教育の特徴と留意事項
2.3 幼児期の栄養教育の特徴と留意事項
2.4 保育と栄養教育
3 学童期・思春期の栄養教育           
3.1 学童期・思春期の栄養教育の特徴と留意点
3.2 学校を拠点とした食育と栄養教育
4 成人期の栄養教育            
4.1 成人期の栄養教育の特徴と留意事項
4.2 成人期の栄養教育と健康日本 21(第2次)
4.3 主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防についての栄養教育
4.4 特定健康診査・特定保健指導と栄養教育
4.5 ワークライフバランス(仕事と生活の調和)と栄養教育
4.6 勤務形態と栄養教育
5 高齢期の栄養教育           
5.1 高齢期の栄養教育の特徴と留意事項
5.2 高齢期のライフイベントと栄養教育
5.3 介護・介護予防と栄養教育
6傷病者および障害者の栄養教育       
6.1 傷病者の栄養教育
6.2 障害者の栄養教育の特徴と留意事項
6.3 医療と保健・福祉の連携による栄養教育
6.4 ノーマライゼイションと栄養教育
問題
参考資料
索引
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